人間発達文化学類に入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。人間発達文化学類 は、人間の教育・発達と文化の探究・創造に関する専門的知識・技能の獲得を通じて、現代社会が直面する人間の教育や文化に関する諸課題に積極的に取り組もうとする人材を育成することを主たる目的としています。学類での学びを通して、皆さん一人ひとりが目指す目標に向かって成長しながら、大学で有意義な時間を過ごすことを願っています。そして、皆さんが、その学びや研究の成果として、これまでの伝統と実績を継承するとともに、社会の変化に応じてそれを変革・発展させていくことを期待しています。
この学修案内は、皆さんが学生生活を送る上での手がかりとして活用されることを意図しています。大学では各セメスターの時間割を自分で決めることになります。このことに象徴されるように、大学での学びにおいては、自主性や主体性を持ち、見通しを立てて計画的に行動することが重要になります。そして、その際には、履修基準や履修登録、Cap制などの学修上の約束事をよく理解する必要があります。大学は自由なところですが、それは自分に対して責任を持たなければならないことの裏返しでもあります。学修案内には、セメスター開始時の履修手続きなどに関する留意点や、様々な資格・免許の取得に関する条件、卒業要件などをはじめとして、大学における履修上の基本的で重要な事項が 記載されています。手近に置き、折に触れて必要な内容をよく確認しながら、円滑な学生生活を送ることができるように役立ててください。
学生生活の中では、初めてのことが多く、戸惑うことも少なくないと思いますが、学修を進める上で不明なことは、まずこの学修案内で自ら確認することを習慣にしてください。ま た、本学類では、皆さんの学修を支援するために、アドパイザー教員の制度を設けています。わからないことや不安なことがある時には、コースのアドパイザー教員や卒業研究指導教員の先生に相談をしてください。自分で抱え込んだり、そのままにしたりせずに、早めに相談することが大切です。
また、大学の活動の中には、大学以外の関係者の方々の理解と協力により可能となってい るものが少なくありません。特に様々な機関や施設、学校で体験活動や実習などを行う場合 には、このことをよく理解した上で、学類の一員であることの責任を自覚して行動することが強く求められます。多くの方々に支えられて皆さんの学びが 成り立っていることを忘れないでください。
さて、本学の教育内容は基盤教育と専門教育に大別されます。入学後は、まず基盤教育の科目を履修することにより、大学入学前の学びを大学での学びに結びつけ、幅広い教養を身につけながら、専門教育での学修につながる基礎を形成することが中心になります。
また、学類生は入学時に学類に設けられている7つのコースのいずれかに所属します。各コースには、複数のコース専門プログラ厶が設けられており、その中から、興味や関心、目的などに沿って自らプログラ厶を選び、それを軸に学類での専門教育における学びを進めます。そして、3年次後期からは、専門分野における学びの総仕上げとして、卒業研究指導教員の下で1年半の時間をかけて卒業研究に取り組みます。また、卒業後には、大学院である人間発達文化研究科に進学することにより、学類での学びを基礎として、さらに高度な研究に取り組むこともできます。
人間発達文化学類の大きな特長の一つは、多様な学問領域があることです。所属するコー スでの軸となる学びの中では、専門分野の知識や技能を深めることになります。しかし、それだけでは十分とは言えません。学類での学びを進める中で、他のコースで展開される多様な学問領域にも触れて、 様々な分野の表面的な違いの背後にある共通性にも目を向けながら学びを広げて欲しいと思います。人間発達文化学類は、専門性を深めるだけでなく、学際的な思考を深める場としても適しています。
また、実際の社会の中では、大学で学んだことがそのままの形で生かされることは、少ないでしょう。そのために、学類では、実践を通して大学での学びを実地に応用する力を身につけることを重視しています。そのような機会はまた、多くの人たちとふれあう機会でもあります。様々な視点や異なる価値観にたくさん触れて、自分の世界を広げていってください。 大学の内外で、様々な人々との交流や対話を通して、時には意見の対立からも学びながら、 人や社会に対する理解を深め、皆さんが豊かな学びを実現することを願います。
さらに、現在のように、情報化・ボーダーレス化・少子高齢化が急速に進む社会の中では、 今日の最新の知識や技術が明日には更新されるような大きな環境の変化に遭遇することも まれではありません。そのような中で生きていくためには、解決すべき課題の本質を見抜い て、その課題を解決するために必要な知識や方法を自ら学び、それをもとに課題の解決に取 り組む力が必要です。これからの社会の中で、学校という枠がなくなった後でも、考え、学び、チヤレンジを続けることができるような力を学生時代に身につけて欲しいと思います。
ところで、この冊子が「学習案内」ではなく「学修案内」であることに疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、これまでの文章を読んでいただければ、福島大学、そして人間発達文化学類が、「(先生から)習う」ことよりも、「(自ら)修める」ことのできる学生の育成を重視していることがご理解いただけると思います。これからの社会では、習ったことを身につけるだけではなく、自ら新しい分野を切り開く、自ら新しい変化を作り出していく人材が求められています。そのための基礎的な力を身につけていただきたいと思います。
皆さんの本学類での学びが実り多いものとなることを願っています。
人間発達文化学類長 初澤敏生