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共生システム理工学類

はじめに

学類長のことば

 共生システム理工学類長 佐藤 理夫

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。まずは大学生活の良いスタートをきって欲しいと思います。良いスタートとは、直ぐに全力疾走することではありません。卒業というゴールに向かって、これからの大学生活を走り続けるためのスタートです。途中には険しい難所があるかもしれませんが、給水地点や休憩所があり、疲れた心身を癒してくれるスタッフもいます。大学合格という「高校生活のゴール」に満足せず、大学生活のスタートラインで立ちすくむことなく、進んでください。走り始めてしばらくすると、力や技が身についていることが実感できると思います。高く見えていた難所も、楽しめるようになってくるでしょう。どのルートを通ってゴールにたどり着くのか、そもそもゴールをどこに定めるのか、チェックポイントで考えて自ら決めてください。「大学生活のゴール」は新たなスタートです。大学院で更にトレーニングをするという選択もあるでしょう。社会人としての良いスタートがきれるよう、充実した大学生活をおくってください。私もこの4月に就任した新米の学類長です。フレッシュな気持ちで皆さんと走りたいと思っています。

 福島大学共生システム理工学類は、「人・産業・環境の共生をめざす科学と技術」の創生のために設立され、2005年4月から学生を受け入れ、文理融合型カリキュラムや実践的研究能力の育成に寄与する様々な事業を通じて、特色ある教育・研究を進めてきました。2019年4月には、学類での教育と大学院教育との接続性を高めるとともに、学修の幅の広さと専門の深さとのバランスをとるよう、コース制を導入してカリキュラム改革を行いました。

 地球温暖化・自然災害の巨大化・化石資源の枯渇・産業構造の急激な変化・少子高齢化など、21世紀の様々な課題が顕在化し、対応が求められています。加えて福島では東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響が残り、解明すべき事象と解決すべき課題が数多く残されています。これらの課題は単一の学問では解決しません。様々な課題を抱えている地球・地域・社会をシステムとして捉え、科学技術を幅広く集め、社会制度を併せて考えて、変革し続けなくてはなりません。共生システム理工学類が目指すのは、幅広く学んだ上で自分が専門としたい分野を自ら選び、専門分野の探究ができ、様々な分野の他者と協同して社会に貢献することが継続的にできる人材を育てることです。学修できる分野の幅広さは他の大学にはない特徴です。これを活かして多くのものを身につけてほしいと願っています。

 大学での学び方は高校までと大きく異なります。選択の幅が大きく広がるのです。1年次は必修の理工系基礎科目が多いため、時間割の自由度は限られます。それでも基盤教育で何を選択するかなど、自分で決めることは多くあります。1年次末にはコース選択です。どのような専門分野を深く学びたいのか、1年間かけて学びながら考えてください。学年が上がるにつれて、専門性が高くなりますが、選択できる科目の幅は広がります。卒業研究に取り組む研究室の選択と卒業論文テーマの決定も、ルールはありますが自らの選択です。卒業研究を始めると、今日はどの実験をしようか・何を読んで調べようか・データはどうまとめようか・等々、日々考えて選択して行動です。選択の幅が広いということは・・・、「楽なものを選んで、楽をしてゴールすることが可能(かもしれない)」という側面があります。このように考えて行動すると、ゴールにたどり着かなかったり、社会人としてのスタートをきってからトレーニング不足で辛い目にあったり・・・。こんな後悔をすることのないようにしてほしいものです。選択に悩んだ時には、グループアドバイザーや教務課に相談してください。学生総合相談室など、様々な相談に対応してくれる場所もあります。抱え込んで立ち尽くすことのないように、お願いします。

 選択できるものは、学修内容だけではありません。サークル活動・地域ボランティア・アルバイトなど、様々な選択肢があることでしょう。長期の休暇は大学生の特権です。まずは今年の夏休みを充実して過ごす計画を考えてみましょう。「自ら選択して決定し、行動すること」は、大学で身につけるべきことの一つだと私は思っています。人生の節目で振り返った時に、「充実した大学生活だった。大学で身につけたものが人生を豊かにした。」と思えるよう、良いスタートをきり、前進してください。