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研究倫理に関して

一般的に、大学の役割は①教育、②研究、③社会貢献の3つだと言われており、大学に入学した皆さんは、「教育を受ける」立場にいると同時に「研究を行う主体」であると見なされます。そして、研究を行う上で最も重要なことのひとつに「研究倫理の遵守」が挙げられます。研究倫理とは、非常に簡単に言うと、研究において差別的な立場をとったり偏見による類推や断言をすることによって、過去や現在に生きる誰かを傷つけたり誰かの利益を損ねたりしないことや、研究を行う上で不正行為を行わないという研究を行う者全てが守らなければならない規範・規則や考え方のことです。

さて、先にも述べたように、皆さんは教育を受ける立場にいると同時に研究を行う主体でもあります。研究というと自分とは関係ないものであると思いがちかもしれません。しかし、大学では学問を「教えてもらう」のではなく、自ら主体的に問いを立て、探究し、学んでいく姿勢が求められます。また、自らが学んだことをレジュメやスライドにまとめてプレゼンテーションを行ったり、レポートを執筆するといった機会が数多く存在します。さらに、大学での学びの集大成として「卒業研究」を行い、その成果を「卒業論文」として執筆することが一般的です。これらの、皆さんが大学での学びの中で日常的に行わなければならないことの全てが学問研究の一部であることを自覚しなければなりません。では、具体的にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここでは、皆さんが1年生の時点から取組む機会の多い「レポート」を例に見ていきましょう。

レポートを作成する際は、教員から提示された、あるいは自分で設定したテーマについて、文献を読んだり、関連する資料・データを収集・分析したりして考察を深めていく必要があります。インターネットが普及するとともに、近年では生成AIのような新しい技術が登場し、関連資料やデータの収集等は昔に比べて格段に容易になりました。こうしたICT技術を活用できることも、大学生にとっては非常に重要なスキルのひとつです。一方で、これらの新しい技術は、他者が作成した、またはAIが出力した文章や図表などをそのまま取り込んで使うことも容易にしてしまいました。少し難しい言葉になりますが、他者が作成した文章や図表などを勝手に自分のものとして使うことを「剽窃(ひょうせつ)」と言います。生成AIの出力結果も、そのまま使ってしまうと、剽窃と判断されてしまう場合があります。この剽窃という行為は研究不正の代表的なもののひとつであり、残念ながら、大学生が作成するレポートにおいても時折見られるものです。レポートは必ず自分の言葉で書くことが基本となります。とは言え、先人の知見を参照することはレポートを作成する上では避けて通れません。生成AIも、適切に利用すれば、学修効率を上げることができるかもしれません。そこで、他者の作成した文章や図表などをレポートに掲載する際は、「引用」を行い、誰の文章・図表等を引用したかを示す「出典」を明示する必要があります。生成AIについては、利用した事実や、生成AIの出力結果を利用した該当箇所等を明記しなければならない場合があります。一般的な引用や出典明示のルールや方法は、これからスタートアップセミナーや様々な科目で学んでいくことになります。また、生成AIについては、授業等におけるAI利用の可否・方法等がそれぞれの授業科目によって異なることがあるため、生成AIを利用する際は、事前に担当教員や指導教員に確認することも必要になるでしょう。まだピンとこない部分も多いかもしれませんが、①「引用」と「出典の明示」を用いて、自分で作成したものと他者の作成したものを明確に区別しなければならないということ、②生成AIの出力結果を安易にそのまま用いてはならないということは、現時点で強く認識しておいてください。

研究倫理を逸脱することは、明確な不正行為であり、単位の取消や場合によっては卒業できなくなってしまうような重大なことであることを自覚してください。研究倫理について学ぶ機会はきちんと用意されています。研究倫理を守り、皆さんが健全に学問研究に取組んでいくことに期待しています。

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