前記のように本学類は、「実践性」、「学際性」、「国際性」、「貢献性」の4つの学類共通のディプロマ・ポリシーを掲げています。ここではこれらのディプロマ・ポリシーと教育の特色について記しています。
本学類では、各科目が十分に高い専門性を含むと同時に、農林業・食品産業・地域社会の具体的な課題と結びついており、入学後の初期段階から学修を進めます。1年次の前期・後期の附属農場などでの「農場基礎実習Ⅰ・Ⅱ」では、植物や動物、生産環境に早期に触れ、実践的な農学への高い意欲の醸成をねらいとしています。2年次前期の「食農実践演習Ⅰ」、3年次通年の「食農実践演習Ⅱ」では、福島県内の農林業や食品産業の現場をフィールドとして、各班が学生15名程度と担当教員で構成され、課題を抽出し解決を図るグループワークを展開します。
本学類の各コースは、生産環境・農林業・食品産業・消費者の連鎖であるフードチェーンに対応しています。また、各コースは多彩な専門分野で構成されていますが、相互に緊密に連携し、フードチェーンの成果の向上が図られるようになっています。1年次からの「農学リテラシー」では、学際性を重視したオムニバス講義や初学者にも理解しやすい入門的・概論的な講義が配置されています。前述の「食農実践演習Ⅰ・Ⅱ」では、複数のコースの学生・教員による班編成で、分野横断型の学修を進めます。
本学類で履修する各科目には、グローバルに共有された最新の知見や、農林業や食品産業の国や地域による具体的な特質を含んでおり、入学後の初期段階から学修を進めます。また、グローバルな問題意識を持つため、地域の個性的な食品や伝統的な慣習の背後にある国境を越えた普遍的な要素を学ぶことも大切であり、自然科学分野の「発酵・醸造学Ⅰ・Ⅱ」や、社会科学分野の「農林資源経済論」などの授業も配置されています。さらに、本学類の教育・研究は東日本大震災・原発事故からの復旧・復興の取り組みとつながっており、地域の具体的な課題と解決策、復興の事例等をとおして国際感覚を醸成します。
本学類では、東日本大震災・原発事故からの復旧・復興の取り組みをとおして各地の農林業・食品産業・地域社会で寄与してきた歴史があるのに加え、教育・研究上、新たな貢献が求められています。なかでも放射能汚染の問題については、俯瞰的な講義「震災農村復興論」(1年次後期)を配置しています。また、前述の「食農実践演習Ⅰ・Ⅱ」では、福島県内7箇所のフィールド(市町村・農林業関係団体・関連企業等)で、食と農に関する課題の特定・分析から解決策の提案までの貢献意識を高める学修を進めます。